オンラインカジノの違法性について

法律事務所ジェイ 代表弁護士 新井哲男
■埼玉県出身 学習院大学法学部卒業
■平成5年4月 最高裁判所司法研修所入所(47期)
■平成12年4月 新井哲男法律事務所設立
■平成21年6月 法律事務所ジェイ主宰
オンラインカジノについては、我国ではいわゆるカジノ等のギャンブルが、競馬、競輪等の公営のものを除き原則として禁止されていることからして、その合法性に疑問を投げかける見解があります。
確かに、インターネットに接続して行なうとはいえ、実際に賭博行為を行なうのが国内であれば、国内犯を処罰する賭博罪に該当するのではないかというのも、あながち不合理ではありません。
とはいえ、海外の合法的な業者によるオンラインカジノを国内で利用することが賭博罪に該当するかという点については、明確な規定がなく「違法とは言えない」、すなわち合法であるというのが実情です。
そもそも、刑法185条では、賭博をした者は50万円以下の罰金又は科料に処するとされています。とはいえ、賭博をするためには、場所や賭博のシステムを提供する賭博場の開設者がいるわけで、こうした者がいてこそ単純な賭博行為も処罰されるわけです。また、仲間内で高額な賭けマージャンをして摘発されることがあるのも、相手方あってのことなのです。
ところがオンラインカジノの場合、カジノを運営するのは海外で許認可を取って合法的に運営している業者です。とすると、海外のオンラインカジノを国内で利用する場合、合法的な業者が提供するカジノで遊んでいるに過ぎないことになります。とすると、いわば自分以外の人は罰せられないのに、自分のしたことが違法だとされることになります。
これは、本来、常に相手方あってこそ成立するとされてきた賭博罪の考え方からすると、とてもちぐはぐなことになります。実質的に考えても、もし、海外では合法的なカジノを国内で遊んだら処罰されるとすると、我が国は、海外のカジノ関連の業者からは白い目で見られることになるでしょう。とすると、IR(統合型リゾート)の推進を目指すカジノ法案があり、今後、国内でカジノを合法的に運営しようとしている政府の方針から見ても、あまり望ましいこととは言えないのではないでしょうか。
そこで、明確に合法だと決められてはいないものの、合法的な海外の業者が運営するオンラインカジノを個人で楽しむ場合には、特に処罰されることはないと考えて良いと思います。
なお、国内の業者がオンラインカジノを開設するのは明らかに違法であり、これを利用すれば賭博罪となるのは明らかです。また、オンラインカジノであっても、一定の場所で、賭博場として開業している場合にこれを利用すれば、やはり賭博罪になり、一般の違法のカジノと変わらないでしょう。
以上のとおり、オンラインカジノを利用する場合には、海外の合法的に活動している業者を選ぶことが大切です。
解説
そもそも賭博法ってなに?

日本でギャンブルをすれば賭博法によって裁かれるのは誰でも知っていると思いますが、賭博法は100年以上前に制定された『賭け麻雀』や『賭け花札』を取り締まるための法律となります。
当たり前ですが、当時はインターネットが存在していないため『じゃあ、インターネットを使った場合はどうなるの?』という部分に対応していません。
そもそも賭博法は胴元を取り締まるための法律であり、プレイヤーの罪はあくまでも付随的なものとなります。なので、刑法第186条第2項でプレイヤーは胴元と共に処罰されることが前提とされていて、胴元が処罰の対象でない場合、その対抗犯であるプレイヤーにも賭博罪が成立しないことになります。
賭博罪は胴元とプレイヤーがセットになってはじめて成立する犯罪なので、オンラインカジノは海外の法律の下、真っ当にオンラインカジノを運営しているからプレイヤーにも賭博罪が適用できないということになります。
合法的に活動しているオンラインカジノの見分け方
合法的に運営されているかどうか判断する基準としては、ライセンスを取得しているかどうかです。オンラインカジノを合法的に運営するには、ライセンスが必要となり、ライセンスを取得していないオンラインカジノでは絶対に遊ばないようにしましょう。
オンラインカジノサイトの下部に行くと、取得ライセンスが掲載されています。こちらはベラジョンカジノですが、キュラソーライセンスを取得しています。
日本で遊戯できるオンラインカジノは、キュラソーライセンスまたはマルタライセンスを取得しているカジノが多い印象です。登録する際は、各カジノのライセンスがしっかりあるかどうか確認してから登録するようにしましょう。
※当サイトに掲載しているサイトはすべてライセンス取得を確認して、紹介をしています。
まとめ
オンラインカジノの違法性については、正直弁護士さんの中でも意見が割れる部分だそうです。今回は【違法とは言えない、すなわち合法である】という見解をお話しいただきましたが、もちろん【オンラインカジノは違法である】といった意見の弁護士さんもいらっしゃいます。実際、過去に日本国内でプレイされた方が逮捕されたケースも存在します。
インターネット上で、オンラインカジノの違法性を調べてみると、ほとんどが【オンラインカジノはグレーである】といった意見が多いのはそれが理由だと思います。
今後、賭博法に関する法律が変わる可能性ももちろんあります。その際は、また新井弁護士にお話を伺おうと思います。
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